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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 20
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「生命活動のプログラム」平成7年度採択研究代表者
「細胞増殖の制御機構」

岸本 健雄1)
1) 東京工業大学大学院生命理工学研究科 教授
Abstract:  本研究の目的は、細胞増殖制御の分子機構を、細胞周期制御因子とシグナル伝達機構の連携にもとづいて明らかにすることにある。具体的には、(1)卵細胞を主な材料として、卵成熟·初期発生·細胞分化という時間軸に沿って、シグナル伝達から細胞周期制御因子に至る経路を解析するとともに、(2)哺乳動物由来の培養細胞系を主に用いて、細胞膜から核への増殖と分化等のシグナル伝達の分子機構およびそれに伴う細胞周期の制御を、GTP結合タンパク質の機能を中心として解析している。平成11年度の研究により、(1)については特に、細胞外刺激からM期開始の引金であるサイクリンB·Cdc2の活性化に至るシグナル伝達の全経路を同定できる可能性が判明した;さらに、減数分裂の本質であるゲノム半減は、Mos-MAPキナーゼを介したシグナル伝達系が減数第二分裂を成立させることによるという点について、概ねの決着を得た。他方(2)については特に、Rasによって誘導される足場非依存性増殖に際し、低分子量GTP結合タンパク質であるRalが細胞周期の負の制御因子であるp27(Kip1)の細胞内の量を調節している可能性を示唆した;さらに、筋発生における筋芽細胞の移動と分化に際し、様々な低分子量GTP結合タンパク質が利用されていることを明らかにした。

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