| 「生体防御のメカニズム」平成7年度採択研究代表者 「ウイルス持続感染による免疫均衡の破綻機序とその免疫治療法の開発」
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| | | Abstract: 本研究では、レトロウイルス感染症(HTLV-I,HIV,etc)によってひきおこされる腫瘍、免疫不全、自己免疫等の生体内での病態形成機序とその分子メカニズムを解析し、究極的にはウイルスを抑制し免疫不均衡を矯正する免疫治療法の開発をめざす。平成11年度までに、ラットのHTLV-I感染系において免疫不均衡による安定したHTLV-I腫瘍発生動物モデルを樹立した。これらのモデルを用いて宿主HTLV-I特異的T細胞免疫の生体内での抗腫瘍効果を証明した。また、同モデルを用いて抗腫瘍ワクチンの試みとしてHTLV-I 遺伝子のDNAワクチンの予備実験を行い、生体内での抗腫瘍効果を確認した。その他のワクチン実験のための準備にも着手した。HIV-1感染系では、SCID/huPBLおよびPBMCを用いたex vivoの解析で、T細胞subsetによるHIV-1株親和性に偏りがあることが分かり、HIVコレセプターの発現パターンとの相関が示唆された。また、HIV-1複製の前半期に重要なHIV-1 integraseの機能解析が進み、新たな治療標的となり得ることが分かった。その他、HTLV-IによるT細胞不死化の分子メカニズムとして、HTLV-I Taxによる細胞周期調節蛋白やアポトーシス抑制蛋白の遺伝子発現調節についても解析が進んだ。 | | | |