TOP > 巻一覧 > 目次一覧 > 書誌事項


平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 157
[PDF (335K)] [引用文献


「生体防御のメカニズム」平成7年度採択研究代表者
「免疫系と神経·内分泌系の立体的分子機構の解明」

奥村 康1)
1) 順天堂大学医学部 教授
Abstract:  ヒトTRAILが抗CD3抗体+IFNα/β処理により末梢リンパ球にTRAILの発現誘導が認められ、ヒト腎癌細胞におけるIFNα/β治療により誘導される腫瘍破壊の一つのメカニムズであることが明かとなった。TNFレセプターを介するNF-κBの活性化のメカニズムを明かにするためにTRAF2/TRAF5のダブルノックアウトマウスを作製し、それ由来の胎児線維芽細胞を用いた実験から、TNFレセプターを介するシグナル伝達系にはTRAF2とTRAF5が関与しており、一部のシグナル伝達系はTRAF2とTRAF5が相補的に働いていることが初めて明かとなった。NK細胞の一つの活性化のメカニズムを明かにし、NKT細胞がConA誘導性肝炎の発病に必須の細胞であることを明かにした。OX40/OX40L相互作用がリーシュマニア寄生虫感染症におけるTh2反応に必須の分子であることを明かにした。免疫系の恒常性維持におけるIL-1ra(IL-1 レセプターアンタゴニスト)の役割を明かにするためにIL-1raKOマウスを作製した。IL-1raノックアウトマウスはBalb/cバックグラウンドにすることにより、ほぼ100%関節炎を発病した。このメカニズムとしてはIL-1raが欠損するとIL-1シグナルが過剰にはいるようになり、他の炎症性サイトカインの分泌を促し、これらが総合的に、免疫系を活性化すると共に破骨細胞を活性化し、関節炎を発症させることが明かとなった。

[PDF (335K)] [引用文献

Copyright(c)2000 科学技術振興事業団