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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 137
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「生命活動のプログラム」平成9年度採択研究代表者
「水素イオン能動輸送機構の構造生物学的解析」

吉川 信也1)
1) 姫路工業大学理学部 教授
Abstract:  平成11年10月にはSpring-8に建設中の専用ビームラインが稼動を始めた。そこでこれまでの最大の懸案であった、ウシ心筋チトクロム酸化酵素結晶の凍結X線回析実験の条件の検討を組織的に行った。その結果、1.65Å 分解能までのX線回析斑点の検出できる程度に条件は改善された。またいくつかの反応中間体のデータ収集にも成功した。しかし、構造変化を検出できるに十分な精度のデータが得られていない可能性も否定できないので、さらに凍結前の処理方法を始めとして全面的に検討している。一方、プロトンポンプ部位と考えられるAsp51はFeaかCuAのどちらか一方の還元によって脱プロトン化することがFTIR法によって明らかになった。また細菌チトクロム酸化酵素の無細胞系での発現にもほぼ成功した。一方休止型チトクロム酸化酵素の架橋過酸化物の共鳴ラマン分光法による確認には、レーザー光に対する強すぎる感受性のためか、まだ再現性が不十分であるのでさらに検討を続けている。低温スペクトル装置と高感度赤外分光装置は予想外の問題点がいくつか発見され、現在、必要なところは設計を変更して、検討している。来年度上半期の完成を目指している。

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