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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 1307
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「資源循環·エネルギーミニマム型システム技術」平成11年度採択研究代表者
「高温運転メタノール直接型燃料電池の開発」

渡辺 政廣1)
1) 山梨大学工学部 教授
Abstract:  燃料電池電気自動車(FCEV)は、従来のエンジン自動車に比べ、高効率で完全無公害である。中でも液体メタノールを直接供給して電気を得る高分子電解質型燃料電池(DMFC)は、改質ガス型と異なり燃料改質器関連機器が一切不要であるため、システム全体の構造が簡略化され、また、起動とメンテナンスが容易となるため、EV用はもとより携帯機器用電源としても最適である。しかし現状では、燃料をアノードで電気化学的酸化する反応が遅いため、改質ガス型に比べてアノード性能が著しく低い。さらに、電解質膜を浸透したメタノールがカソードで非電気化学的に酸化される燃料浪費と、それによるカソード性能の低下も大きな問題である。本研究では、高温作動(∼150°C)可能な直接型燃料電池の実現に向けた基礎的研究を実施する。このような高温運転によって、(1)電極反応、とりわけアノード反応速度の促進による電池の高性能化、(2)高品位廃熱の利用拡大による電池の総合効率の向上、(3)触媒量の低減、電池のコンパクト化、コストダウン等、極めて大きなメリットがもたらされる。これを実現するために、本研究では(1)耐食性が優れ、かつ単独でもある程度の活性を有する白金族金属と、単独では不活性で耐食性も無い卑金属とを合金化する事により、その何れにも優る新触媒を設計し、高温運転条件下でも安定な新触媒をスクリーニングし、最終的には実用触媒として評価する。また、(2)この条件下でも、導電性が高く、メタノール浸透が抑えられるハイブリッド膜、コンポジット膜、イミダゾール膜を開発し、この膜中に更に微量、超高分散した白金触媒でメタノールを酸化除去できる新しい電解質を開発する。

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