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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 1300
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「資源循環·エネルギーミニマム型システム技術」平成11年度採択研究代表者
「植物系分子素材の高度循環活用システムの構築」

舩岡 正光1)
1) 三重大学生物資源学部 教授
Abstract:  本研究は、森林資源をポスト石油資源として循環活用すべく、現行植物系廃棄物を複合有機資源としてとらえ、構成素材を精密変換·分離し、分子素材レベルで長期間カスケード的に循環活用するシステムの構築を意図している。本研究のポイントは、植物素材の変換·分離に対して、新たに相分離系変換システムを構築すること、そして本システムを現行廃棄物ラインに直列配置し、ここで木材工業から植物系分子素材工業へ切り替えることにある。平成11年度においては、システム構築の要素技術である相分離系変換システムに関し、システム構成媒体と資源変換効率ついて基礎的に検討し、媒体回収システムを組み込んだ新しい相分離変換·分離システムを考案した。さらに、数種の木質系および草本系資源を選定し、その資源分布に関する基礎調査と相分離系変換特性に関する予備試験を行った。リグニン資源を高度に循環活用するため、分子内機能変換素子を設計するとともに、それを組み込んだリグニン系素材を新たに合成、その循環型材料特性を解析した。また、リグニン素材と植物系ファイバーのマッチングによる形状可変機能を有する循環型リグノセルロース素材を設計、その基礎的機能試験を行った。さらに、リグニン素材の高密度炭素構造を活用する分離膜および機能性炭素材料の創製に関し、基礎的特性解析を行った。生理機能を保持した活性リグニン素材の合成に関し、変換手法を中心に検討、弱酸系セルロース膨潤溶媒を用いる新しい変換システムを開発した。誘導された素材の生体系物質に対する生理機能、特に酵素固定化能、抗酸化能、血液凝固能について基礎的に検討を加えた。今後これらの基礎的知見をさらに発展、リンクさせ、植物資源を複合体レベルから分子素材レベルまで高度に循環活用するシステムの構築を目指す。

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