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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 1271
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「資源循環·エネルギーミニマム型システム技術」平成10年度採択研究代表者
「温暖化ガスにかかわる永久凍土撹乱の制御技術」

福田 正己1)
1) 北海道大学低温科学研究所 教授
Abstract:  永久凍土地域で地表面を覆う植生が、多発する森林火災や伐採で失われている。こうした攪乱により永久凍土の熱バランスが崩れ、凍土の大規模融解が促進される。また森林(タイガ)は地球規模の二酸化炭素収支で、重要な吸収源とされていた。表層の攪乱がタイガの吸収機能を阻害し、また凍土融解で地下のメタンガスが放出される。ここうした永久凍土の変質が、大気中の温暖化効果ガス収支へ大きな影響を与え、結果として更なる温暖化を促進するいわゆる正のフィードバク効果が発生する。またシベリアでの天然ガスパイプラインからのガスの漏洩も、また温暖化促進効果を及ぼす。本研究では、こうした永久凍土攪乱によって引き起こされる温暖化効果ガスの発生源を現地観測で特定し、また発生メカニズムを明らかにするためのデータ解析を実施した。さらに今後の変動予測を行い、発生ルートにおける非線形増幅機構を解明する。そうした結果から、対応処置として発生量抑制のための手法を開発する。平成11年度は、シベリアおよび比較のためのアラスカで、各種観測と野外調査を実施した。それらは2000年1月に開催したシンポジウムで成果として公表し、報告書を出版した。また次年度以降も長期現地観測と実験、それらの解析を行い当初の予定通りの成果が得られるものと期待される。

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