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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 1261
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「資源循環·エネルギーミニマム型システム技術」平成10年度採択研究代表者
「エネルギーの効率的変換を目指した界面イオン移動の解明」

小久見 善八1)
1) 京都大学大学院工学研究科 教授
Abstract:  電気化学反応を利用した電気化学的エネルギー変換·貯蔵システムはエントロピー生産の最も少ない高効率のエネルギー変換システムであり、環境負荷の最も低いシステムである。代表的で実用化への期待が大きいシステムがリチウム二次電池と燃料電池である。リチウム二次電池は小型電子携帯機器用からバックアップ電源、電気自動車用電源さらには電力負荷調整への、また燃料電池は電気自動車用電源から火力発電に代わる発電システムまでへの応用が考えられており、世界中で多くの努力が傾注されている。燃料電池、リチウム電池の内部で起こる反応を考えた時、これらの系の多くの電気化学反応で単に電子だけでなくイオンも同時に界面を移動する。一般的にイオンの移動速度は電子の移動速度よりも遅く、電子、イオンとも界面を移動する場合にはその反応速度は電子移動速度よりもむしろイオン移動速度によって決定されることになる。リチウム二次電池、燃料電池などの電気化学的エネルギー変換·貯蔵のさらなる高効率化には界面イオン移動反応の解明が不可欠である。本研究ではこれまで見過ごされてきたイオンの固体界面移動を解明し、電気化学的エネルギー変換反応の飛躍的高効率化をはかり、エネルギー消費のミニマム化に資することを目的とする。本研究では、理想的な固/固、固/液、液/液モデル界面の形成、薄膜を用いた界面のモデル化により、界面を移動するイオンの平衡論ならびにダイナミクスの理論的解明を進める。これらの結果を実際のリチウム二次電池、燃料電池に含まれる電極(界面)反応に結び付け、高性能化をめざす。更にこれらの研究を通して得られた知見に基づいて、高速界面イオン移動が可能なリチウム電池、燃料電池の新規電極材料、電解質材料の開発を行っていく。

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