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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 126
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「生命活動のプログラム」平成9年度採択研究代表者
「核内因子による遺伝情報発現制御機構の解明」

田村 隆明1)
1) 千葉大学大学院自然科学研究科 教授
Abstract:  遺伝子発現は細胞の生存に必須な過程であり、細胞の増殖、分化、癌化、死滅といった現象も、全て遺伝子発現の制御段階で起こっている。遺伝子発現の中でも転写は遺伝子発現の基本であり、その制御機構の解明は生命活動の本質を理解する上で必須である。細胞内で起こる膨大な数の遺伝子の転写は、統合と多様性という両極の現象を保ちながら進められているが、その詳しい分子機構は不明である。本研究では普遍的転写因子TBPを材料に、この課題に迫ろうとしている。一方、転写は転写以外の核内反応とは無縁ではありえず、核内の遺伝情報ダイナミズム協調性の分子機構解明も重要な研究課題となっている。本研究では転写因子を含む高分子複合体の解析を通してこの問題にも迫る。研究代表者はTBPに結合する因子として複数のTIPを発見しているが、本研究によりTIPが複合体を形成すること、複合体の中には転写以外に関与する因子も含まれていた。研究代表者は上記2つの研究課題について、主にTBP側からの解析を進めている。本研究では複数の転写制御に携わる研究者との共同研究の形をとっているが、各々はTBP以外の基本転写因子についての詳細な解析を進めている。このような包括的共同研究体制を組むことにより、転写制御機構を通しての細胞機能の包括的理解がさらに加速すると考えられる。

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