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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 1245
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「内分泌かく乱物質」平成11年度採択研究代表者
「内分泌かく乱物質のヒト生殖機能への影響」

岩本 晃明1)
1) 聖マリアンナ医科大学 教授
Abstract:  内分泌かく乱化学物質による男性生殖機能への影響が危惧される中で、我々のチームは男子不妊症原因究明の基礎的臨床的研究の実績と正常男性生殖機能の調査研究の経験を踏まえて、内分泌かく乱化学物質のヒト生殖機能への影響に対する包括的な戦略を立てた。本研究の特徴は主としてヒトを対象とし、ヒトより得られた血液、DNA、精漿、精子、臍帯·臍帯血およびヒト細胞等を材料として内分泌かく乱物質の影響を評価する方法を確立すること、およびその基盤となる基礎研究を実施することである。その目的のために、(1)内分泌かく乱物質の精巣内ホルモン環境への影響と応答遺伝子に関する研究、(2)精漿内DNA断片およびアデニルプリンを指標とした新規造精機能評価モデルの開発、(3)精子の形態や運動性に関する内分泌かく乱物質の影響、(4)内分泌かく乱物質の高感度測定法の開発、(5)遺伝的素因による環境影響に対する反応性の差異に関する研究、(6)内分泌かく乱物質が与える遺伝子DNAへの損傷及びタンパク動態の解析の各研究を計画し、実施している。さらに平成11年度中に、同じ「内分泌かく乱物質」プロジェクトの有賀チームとの共同研究が実現し、(7)DJ-1タンパク質の新規造精機能マーカーとしての可能性に関する研究として発足した。以上の研究から内分泌かく乱化学物質のヒトへの影響を評価する方法の開発をめざし、男性不妊をはじめとするさまざまな生殖機能異常の原因を明らかにしたい。さらに将来的には臨床の場にフィードバックし治療法の開発にも役立てたい。

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