| 「内分泌かく乱物質」平成10年度採択研究代表者 「リスク評価のためのダイオキシンによる内分泌かく乱作用の解明」
|
| | | Abstract: ゴミ焼却などに伴う環境へのダイオキシンの放出とこれによる健康への影響に関する国民的関心の高まりのなかで、日本政府は99年6月にダイオキシンの安全基準である耐容一日摂取量を、当面、体重1kgあたり4ngと設定した。しかし、ダイオキシンのリスク評価のために使用された科学的知見のほとんどは国外から発信されたものであった。今後のダイオキシンの健康リスク評価のために、我が国から学術的価値も高い研究成果の発信を集中的に行う必然的かつ緊急性があろう。我々は、今回の研究を単に学術的関心のみの基礎研究ではなく、現実に求められているリスク評価へつながる研究として位置づけた。研究体制として内分泌かく乱作用に関わる研究課題のうち、生殖機能、脳機能·行動、免疫機能の面から3つの研究グループを編成した。これらの3分野の研究を縦糸とすると、横糸の関係にあるリスク評価を第4グループとして設けた。具体的には、マウスやラットなどの実験動物の受精卵から出生までのもっとも感受性が高い期間にダイオキシンを曝露して量·反応関係を検討するとともに、内分泌かく乱作用のメカニズムの解明を行うことを目指している。これまでの研究により、低用量で雄の生殖器官への影響、雌の成熟の促進、T細胞の分化への影響の知見などが得られた。 このほか、精子形成、胎盤機能、性行動、甲状腺機能、ならびにこれらの影響指標のリスク評価への適用について検討を行っている。 | | | |