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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 119
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「生命活動のプログラム」平成9年度採択研究代表者
「哺乳類人工染色体の開発と個体の形質転換への利用」

岡崎 恒子1)
1) 藤田保健衛生大学総合医科学研究所 教授
Abstract:  染色体の維持·継承には複製起点·セントロメア·テロメア(線状ゲノムの場合)が必要とされる。これら三領域を持ち安定維持される哺乳類人工染色体を形成出来れば、機能領域の研究に有用であり、且つ人工染色体は宿主染色体外に安定に維持される挿入容量の高い新しいタイプのクローニングベクターとしても利用価値が高いと期待される。代表者らは、アルフォイド配列とヒトテロメア配列を持つ酵母人工染色体(α7C5hTEL YAC)を前駆体として、ヒト培養細胞HT1080中にヒト人工染色体(HAC)を形成することに成功している。この成果を基に本研究課題では、(1)ヒト染色体セントロメア/キネトコアの機能構造解析と構造の可視化、(2)ヒト並びに哺乳類細胞で安定維持される人工染色体(HAC或いはMAC)の構築と必須領域の構造、(3)人工染色体を遺伝子導入ベクターとして使用するための技術開発、(4)人工染色体のマウス胚への導入法の確立とマウス個体における維持と遺伝子発現、(5)遺伝子治療、物質生産などへの哺乳類人工染色体の利用法、等に関する研究を行うことを目的としている。平成11年度は(1)、(2)、(3)の項目に関する研究を重点的に行い、ヒトセントロメアクロマチンの特異的構成因子の決定、セントロメア特異的ヌクレオソームの再構成、特異的アルフォイド配列と鎖長に依存した人工染色体形成、ベクター機能を持つHACの構築等に成功した。今後は(4)、(5)の項目についても解析をすすめる計画である。

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