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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 1188
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「地球変動のメカニズム」平成11年度採択研究代表者
「衛星利用のための実時間海洋基礎生産計測システム」

才野 敏郎1)
1) 名古屋大学大気水圏科学研究所 教授
Abstract:  地球規模の気候変化、環境変化において海洋における熱·エネルギー循環と物質循環が大きな役割を果たすと考えられているが、その実態を解明するためには今までの船舶観測に加えて、人工衛星観測と定点観測を組み合わせた時系列の観測が必要であることは、海洋における過去10年間の種々の国際協同観測計画の結果ますます強調されるようになってきた。特に、海洋の物質循環に関しては物質の鉛直輸送を担う生物ポンプの活動の地理的分布とその系時的変化を明らかにすることが中心的な課題となっているが、そのためには人工衛星海色リモートセンシングによる植物プランクトンの量と基礎生産の測定が唯一の現実的な観測手法として大きな期待が寄せられている。本研究では、海洋現場に設置した自動昇降式ブイに搭載した光学的なセンサー類によって海洋の基礎生産を自動的に計測し、実時間的にデータ転送を行うことによって、人工衛星水色データから推定した基礎生産を実時間で検証するための計測システムの開発と、基礎生産測定アルゴリズムの開発の双方を目的としている。初年度である平成11年度には、ブイシステムの基本的な仕様を確定するための検討を行う傍ら、搭載を予定している光学的センサー類を使った海洋現場における観測·実験を実施した。特にFRRF(高速励起蛍光光度計)に関しては北部北太平洋、赤道域太平洋などの航海で測定したデータを解析して基礎生産の推定を試みている。様々な海域で比較を行うことにより計算に用いる生理学的パラメータ(たとえば単位クロロフィルa量あたりの光合成反応中心(II)の量など)を一定とすることの妥当性を検討している。

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