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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 1178
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「地球変動のメカニズム」平成10年度採択研究代表者
「大気-陸域相互作用のモデル化と衛星観測手法の開発」

小池 俊雄1)
1) 東京大学大学院工学系研究科 教授
Abstract:  本研究は、大気-陸域相互作用における科学的不確実性の部分に焦点を当て、包括的な衛星観測システムを国際的な共同研究体制を基盤に、グローバルな検証実験と比較研究によって、(1)大気-陸面相互作用の中で鍵となるプロセス解明、(2)新しい地球観測衛星を用いたグローバルモニタリングシステムの確立、(3)モデルのグローバルな適用の可能性の検証、を達成しようというものである。平成11年度は、(1)の目的に対して、中国、タイ両国の研究者との協力でそれぞれチベット高原とタイでの観測計画の基本的枠組みについて合意するとともに、観測機材の国内試験運用を実施した。(2)の目的に対しては、NASAおよびNASDAが平成12年度に打ち上げを予定している改良型マイクロ波走査放射計を用いた積雪、土壌水分、地温、植生水分量、降水量の算定アルゴリズムを開発し、既存の衛星、地上同期観測データを用いて検証した。(3)については、チベット高原における永久凍土帯での陸面の不均一性を考慮した水·エネルギーフローモデルを現地観測データを用いて検証し、妥当性を確認した。平成12年度は、自動気象観測装置や土壌水分観測装置などを現地に設置するとともに、平成13年度から始まる集中観測準備を、中国およびタイの研究者とともに実施する。また、開発した衛星アルゴリズムを国際的な枠組みで相互比較し、その性能評価を行なう。モデルについては陸面水·エネルギーフローモデルと大気メソモデルとの結合結合実験を行い、陸面が大気の及ぼす影響をモデルシミュレーションによって定性的に把握する。本研究は、世界気候研究計画(WCRP)における全地球スケールでの合同強化観測プロジェクト(CEOP)立案を実質的にリードしてきた。CEOPがWCRPのコアプロジェクトとして採択され(平成12年3月)、平成13-14年の強化観測の中心的観測研究として、その重要性は益々高まっている。

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