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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 1154
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「地球変動のメカニズム」平成9年度採択研究代表者
「衛星観測による植物生産量推定手法の開発」

本多 嘉明1)
1) 千葉大学環境リモートセンシング研究センター 助教授
Abstract:  本研究の目的は、衛星による植物生産量推定モデルの開発とモデルの高精度化を可能にすることにある。これにより地球温暖化防止のための植物による二酸化炭素固定量を正確に見積もることや食糧生産を把握することができる。研究の初段階では平坦·均質·広大な草原サイトでの植物生産量の実測手法を開発し、衛星観測データと直接比較することができた。これにより衛星データによる植物生産量推定結果を実証的に検証することが可能になり平成10年度に続いて11年度も実証的な検証を行った。ところが、平成11年度は、表1に示すように平年であった平成10年度と異なり干ばつ年であった。平成10年度と平成11年度を比較すると、最大バイオマス量で30.93[g/m2]、草丈で1.67[cm]、植被率で15.33%、植生指標で0.126、平成11年度の方が低い値を示しており植生の成長が阻害されていることが分かる。これらは平成11年度にも平成10年度とほぼ同様のモンゴル観測を実施したことから分った。平成11年度のモンゴル観測は、植物生産量推定のモデル構築および衛星データ解析に必要な基礎的な情報を入手するとともに、現地観測手法の確定を目的とした。モンゴル草原観測サイト運用計画に基づき、1)車両観測、2)リモコンヘリ観測、3)刈り取り調査、4)3Dレーザースキャナー観測、5)BRDF観測、6)大気観測、7)気象観測、8)土壌水分観測、9)土性観測を約1ヶ月間実施した。平成11年度が干ばつ年であったために、平成10年度のなどの平年値と観測値の違いがあり今後の植物生産量推定モデル作成に役立つと考える。一方で、昨年度までは既存の衛星データを用いてモンゴル草原の植物生産量を推定した結果は15%程度の誤差であったが、4万平方キロ程度の広さでは1%未満の誤差まで高精度な推定が可能となった。また、数十万平方キロ程度の広さで10%程度の誤差と今までより良い結果を得た。昨年末に打ち上げらた米国NASAの衛星プロジェクトが我々のモンゴルサイトのデータを衛星の検証データとして利用したいとの申し入れがあり、我々のサイトの衛星データが集中的に取得されることになった。

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