| 「生命活動のプログラム」平成9年度採択研究代表者 「構造生物学に基づくシグナル伝達系の解明とその制御」
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| | | Abstract: シグナル伝達蛋白質に含まれる機能ドメインおよび機能ドメイン複合体の立体構造を明らかにすると共に、ドメイン相互の認識機構を立体構造に基づいて解明する。ついで、立体構造解析の知見に基づき、ドメインを基盤としたシグナル伝達蛋白質の機能改変技術としてドメイン工学を確立する。ドメイン工学には、ドメインの同定と新規ドメインの構造解析が必要である。この目的に沿って、平成11年度には、(1)新規ドメインであるPB1とPCモチーフとの相互作用様式について検討した。(2)Vav nSH3の構造およびGrb2 cSH3との認識についてNMRおよびX線結晶構造解析を用いて決定した。新しい標的配列の認識機構を提案した。(3)平成10年度までに、アダプター蛋白質であるGrb2の柔軟な構造について明らかにしてきた。平成11年度は、柔軟性がGrb2の生物学的機能に不可欠であることを二価で結合するモデルペプチドとの相互作用を解析することにより明らかにした。(4)構造ドメインの同定を目的として、ランダムオリゴを用いた方法およびインタクトな蛋白質からの限定分解について検討した。ランダムオリゴ法をVavに適用した結果、可溶性画分に発現するいくつかの構造ドメインを同定することができた。(5)新規シグナル伝達蛋白質の作製を目的とし、蛋白質スプライシング反応をを用いて、ドメインの組継ぎを行う事を検討した。好中球酸素発生系に含まれる蛋白質に適用した結果、スプライシング反応により、新規シグナル伝達蛋白質が作られていることが明らかとなった。以上、ドメイン工学確立のために、基礎的な検討を行った。本研究はシグナル伝達ばかりでなく、工学的な応用を行う上でも興味深い。 | | | |