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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 112
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「生命活動のプログラム」平成9年度採択研究代表者
「タンパク質の膜を越えたダイナミズムを支える細胞機能の解明」

伊藤 維昭1)
1) 京都大学ウイルス研究所 教授
Abstract:  ゲノムから細胞が構築されるとき、遺伝子に書き込まれた情報に基づいて合成されたタンパク質が細胞内の特定の場所に配置される必要がある。そのためには、タンパク質のかなりのものは、遺伝情報翻訳の場である細胞質から膜を越えて輸送されたり、あるいは膜に組み込まれなければならない。タンパク質の膜を越えた分泌、局在化ならびに構造形成は、細胞の機能分化を司る反応であり、多数の因子の関与のもとに成し遂げられ、制御される。輸送や局在化反応に中心的役割を果たしている因子は、膜内で大きな構造変化をし、あるいは膜間を移動する。これら因子のダイナミックな構造変化·動きの実体を解明し、分子的基盤を明らかにするため研究を進めている。分子レベルと細胞レベルを統合した精密な研究が可能な大腸菌を用いて、膜においてタンパク質の膜透過を媒介するチャネル因子SecYEG複合体および輸送を駆動するATPaseであるSecAなどの構造と機能の研究を核として研究している。加えて、膜タンパク質の分解制御にかかわるFtsH複合体、分泌タンパク質のジスルフィド結合形成装置、リポタンパク質の外膜への局在化装置、などの研究と組み合わせ、総合的な理解を目指している。

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