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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 1095
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「環境低負荷型の社会システム」平成8年度採択研究代表者
「質の利用を中心にすえた新しい都市水代謝システムの構築」

渡辺 義公1)
1) 北海道大学工学部 教授
Abstract:  20世紀は科学技術の進歩と人口の急増(100年で約4倍)が特徴の世紀である。その裏返しとしての環境問題も深刻化した。さらに、世界の水使用量は約11倍に増加し、世界銀行や国連の報告でも、水問題が21世紀における最大の課題であると警告している。本研究では構造的な渇水と水質汚濁に対処できない20世紀型の一過型都市上下水道システムに代わる、質の利用を中心にすえた新しい都市水代謝システムの構想を提案し、それを構築するための要素技術の開発を行う。本プロジェクトの主な研究テ-マは、1)二元水道と下水再利用のための、分離膜を用いた精密水処理システムと凝集·高速固液分離·生物膜·分離膜を組み合わせた超高度下水処理システムの開発、2)水処理汚泥に含まれるリンのリサイクルのための機能性酵素の利用、3)水処理用新素材(吸着剤、酸化促進触媒)の開発、4)高感度水質計測システムの開発、である。これまでに、粉末活性炭と浸漬型MF膜を組みあわせたハイブリッド膜処理システムの構築とその機能解析、MF/UF膜のファウリング機構の解明、回転平膜表面に生物膜を固定した水処理プロセスの開発、凝集沈殿による下水からのリンの回収と植物根分泌酸性フォスファターゼと有機酸による可溶化、酸性ファスファタ-ゼの遺伝子解析、ジルコニアメソ構造体ヒ素吸着剤の製造とその吸着能の評価、ソニックスプレー噴霧器を用いたプラズマイオン源質量分析装置の試作、等の研究成果を得ている。研究プロジェクト後半の2年で、札幌市創成川下水処理場に設置した超高度下水処理プラントを運転しながら、それに関連して開発した要素技術の有効性を確認する。

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