TOP > 巻一覧 > 目次一覧 > 書誌事項


平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 1075
[PDF (588K)] [引用文献


「環境低負荷型の社会システム」平成8年度採択研究代表者
「新世代型低負荷環境保全技術による廃棄物のエネルギー化·再資源化」

野池 達也1)
1) 東北大学工学部 教授
Abstract:  近年、地球温暖化をはじめとする地球規模環境問題がクローズアップされ、地球環境にやさしい新世代型科学技術の開発や新しい知的社会システム創造の重要性が強く認識されるようになった。わが国では1980年代後半から、ごみ排出量が急速に伸びてきている。一般廃棄物では紙類とプラスチック類の排出量が増大しているにもかかわらず、その再資源化割合は産業廃棄物と比較して極めて低いのが現状である。特に、廃プラスチックの増大により燃焼処理を行っているごみ処理施設の耐用年数の低下を引き起こすこと等の問題が生じている。また、産業廃棄物の50%近くを占めている下水汚泥等の処分も、埋立処分地が不足していることから深刻な社会問題となってきている。人間と環境の調和のとれた社会の実現を目指すには、環境への負荷を軽減する物質循環に基づいた新しい環境保全技術が不可欠である。本研究は、エネルギー·物質循環を重視した廃棄物処理技術の開発に焦点を当て、環境負荷を最小とする新しい環境保全技術を確立することにより、環境低負荷型社会システム実現の一翼を担おうとするものである。図-1に本研究の構想を示す。都市から排出される廃棄物を易分解性廃棄物(廃水、生ゴミ、汚泥など)と難分解性廃棄物(廃プラスチック)に分けて、再資源化およびエネルギー化を行うことを目的としている。易分解性廃棄物は、水素発酵で水素ガスを回収した後に重金属除去を行い、コンポストとして土壌に還元される。さらに、プロセスの最終段階では病原ウイルスに関して安全性評価を行う。難分解性廃棄物については適切な処理を施した後、主に資源化される。プロセスは五つのユニットに分割され、各研究グループによって研究が進められている。平成11年度までの研究において、各ユニットの研究が完成に近い状態になり、個々のユニットでも十分に機能することが明らかになった。平成12年度後半からは、各ユニットの研究をさらに発展させながら、プロセス全体を完成させる予定である。

[PDF (588K)] [引用文献

Copyright(c)2000 科学技術振興事業団