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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 1058
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「環境低負荷型の社会システム」平成7年度採択研究代表者
「環境影響と効用の比較評価に基づいた化学物質の管理原則」

中西 準子1)
1) 横浜国立大学環境科学研究センター 教授
Abstract:  化学物質による環境への負の影響(リスク)とベネフィットを評価し、そのバランスにたって化学物質の管理原則を導くこと、最終的には、化学物質に関する環境政策に科学的な根拠を提供することを目的に研究を行っている。いくつかの化学物質を選び、その環境中動態の把握、人の健康へのリスク評価で一定の実績を挙げた。特にダイオキシンの発生源解析で著しい成果を挙げた。また、リスクマネージメントにおいて、発生源解析の重要性を認識させる際だった成果を出した。発生源推定解析という新しい問題意識を鮮明に打ち出し、市原市のエチレン排出源推定、PRTR(化学物質の排出と移動に関する法律)データの検証などでも、成果を挙げた。人の健康リスク評価では、不確実性を考慮した評価、胎児へのリスク評価等まで、守備範囲を広げた。また、生態リスク評価手法の開発でも一定の進展がみられた。リスク·ベネフィット解析をするためには、化学物質の生態リスクと面的な開発による生態リスクが、同じ尺度で評価されなければならないという考えの下に、種の絶滅確率という尺度で評価する方法を、開発すべく、努力してきた。その結果、種の絶滅待ち時間(絶滅確率に読み替え可能)を尺度として評価し、さらにそれと同等な意味を持つ、環境容量の変化として表現する手法を開発した。この手法を応用して、DDTの生態リスク評価を行った。また、土壌の環境診断で、新しい展開が見られた。尚、これらの研究結果の詳細は、http://www.kan.ynu.ac.jp/∼rmgでみることができる。

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