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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 1023
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「環境低負荷型の社会システム」平成7年度採択研究代表者
「東アジアにおける酸性物質及びオゾンの生成と沈着に関する観測と環境影響評価」

秋元 肇1)
1) 東京大学先端科学技術研究センター 教授
Abstract:  (1)東アジアにおける対流圏オゾン濃度の変動
東アジアのリモート地点(利尻、八方、隠岐、沖縄、モンディ、スリナカリン、インタノン、黄山)におけるオゾン·一酸化炭素の通年連続観測を継続した。本年度は特にタイにおける地表オゾンデータの解析、およびヨーロッパと東アジアのオゾン濃度と季節変動の比較検討を行った。
(2)大気微量成分の高感度連続測定装置の開発と野外観測
本研究では、光化学オゾンの生成プロセスおよび酸性/塩基性ガスの長距離輸送プロセスの解明のため、これまでに市販されていない高感度連続測定装置を開発し、これらを用いた野外観測を実施する。本研究で開発中の測定機器は、
(a)レーザー誘起蛍光法によるHOxラジカル連続測定装置
(b)ガスクロマトグラフ/負イオン化学イオン質量分析法によるPAN連続測定装置
(c)負イオン化学イオン化質量分析法によるHNO3連続測定装置
(d)レーザー誘起蛍光法によるNO2連続測定装置
(e)負イオン質量分析法による無機ハロゲン連続測定装置
(f)拡散スクラバー/イオンクロマトグラフ法による酸性·塩基性ガス自動連続測定装置
(g)拡散スクラバー/液体クロマトグラフ法によるアルデヒド自動連続測定装置
(h)拡散スクラバー/イオンクロマトグラフ法による無機ハロゲン自動連続測定装置
である。これらの内で酸性·塩基性ガスおよびアルデヒド自動連続測定装置は既に開発を終え、昨年度から隠岐および沖縄のステーションに配備して通年連続観測を継続している。またPAN測定装置も実用化の段階に入り、利尻ステーションに配備して季節変動の観測を継続している。HNO3測定装置も沖縄集中観測において、実大気中での実用性を実証できたので、2000年1月より利尻ステーションに配備し、PAN, HNO3, NO/NO2の同時観測を行っている。HOxラジカル連続測定装置については、本年度は沖縄においてHOxを中心とした集中観測に参加し、昨年の隠岐に引き続いてHO2ラジカルの測定に成功した。またOHについても何とか測定できる段階に到達した。無機ハロゲン測定装置に関してはさらに開発を続けている。
(3)対流圏オゾン変動のモデルによる解析と植生への影響評価
全球三次元モデル、地域スケールモデルを用いて、東アジアにおける対流圏オゾン変動プロセスを解析し、特に中国の経済発展に伴うNOxの放出量の増加によって我が国の対流圏オゾンがどの程度増加するかを定量的に予測する。また本年度から植生に対する環境影響指数AOT40を用いたオゾンの植生影響評価の予備的研究を手掛けた。

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