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「動植物細胞におけるストレス応答機構」に関する共同研究
Vol. 1 (2000) 626
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深海環境における条件変化の生物に与える影響の研究
竹内 和久1), 藤岡 祐一1)
1) 三菱重工業株式会社 長崎研究所 化学研究室
Abstract:  深海資源の開発及び利用の際の深海環境のアセスメントの方法の一つとして高圧下における微小動物の飼育、観察技術及び生物評価法検討とともに、高圧下において環境条件の変化が生物に与える影響を調べた。新規に開発した微小動物高圧飼育装置により、加圧条件下で、微小動物が飼育できること、環境条件の変更が可能であること、また微小動物の運動状況が観察できることを確認した。生物評価法の一手段として蛍光微小球を利用した摂餌の評価を検討し、YG(1μm:生化学工業)を用いることにより、体内に取り込まれた蛍光微小球が観察できることを確認した。海岸から採取した線虫に対して加圧飼育を試みたところ320気圧程度の加圧は短期間であれば、致死的でないことを確認した。塩酸でpHを7に調整した海水中に有孔虫をいれ、常圧下と加圧下で12時間静置したところ、常圧、加圧ともに殻の溶解が観察され、従来報告のあったpH6∼5.5より高いpHで短期間でも影響が出る可能性を見出した。また加圧下ではその傾向が強くなることを確認した。
本研究によりこれまで評価手段のなかった高圧下での微小動物への環境撹乱の影響に関し、微小動物高圧飼育装置を開発し、飼育、観察法を確立した。本研究は今後必要となる深海環境のアセスメントの際、深海の微小動物に対する影響の定量的な評価につなげる。

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