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「動植物細胞におけるストレス応答機構」に関する共同研究
Vol. 1 (2000) 534
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海洋生物資源ライブラリーの構築
蓮田 勝美1), 市毛 秀則1), 太田 洋子1), 中島 琢自
1) ポーラ化成工業株式会社 中央研究所·医薬品研究所
Abstract:  海洋環境は一般には、貧栄養状態であり、そこには陸上と異なる、微生物をはじめとする多様な生物が棲息している。
本研究では、これらの海洋生物のうちで特に貧栄養条件下で生育している低栄養細菌と放線菌を海洋生物資源ライブラリー構築のための分離·収集する対象菌種とした。
これらの微生物源としての海洋試料の採取は、長崎県内大村湾、橘湾、九十九島における海底泥、海水、海洋生物の試料と、長崎半島、西彼杵半島、有明海沿岸の汽水域について2回(6月、9月)行った。海洋低栄養細菌分離用培地として、PPES2とORI培地の2種類を用いた。寒天濃度を減らす目的でグルコマンナン製剤Agarmate0.3%添加50%人工海水培地条件下で、海洋細菌の分離を行った。放線菌の分離培地は、Glucose-Waksman’smedium(GW)培地とProline-water agar(PW)を用いた。得られた海洋試料から、純粋分離·収集した海洋細菌の総数は2967株であった。
それらは大村湾、橘湾、九十九島由来の海底泥由来菌996株(33.6%)、海水由来菌529株(17.8%)、海洋生物由来(魚類腸管)554株(18.7%)、沿岸汽水由来770株(26.0%)であり、その他の土壌由来118株(3.9%)であった。
一方海洋に関わる放線菌は529株分離·収集された。それらは沿岸汽水域由来407株(76.9%)、海底泥由来65株(12.3%)、海水由来3株(0.6%)、その他の土壌由来株から54株(10.2%)であった。この中で海底泥と海水由来の68株の放線菌は特に海洋環境に馴化した株であろうと考えられ、その代謝や活性物質産生に興味が持たれる。
ここで、分離·収集した海洋細菌2967株はNB0001∼NB2967として海洋細菌ライブラリーとして登録した。
放線菌529株はNS0001∼NS0529として放線菌ライブラリーに登録し、超低温保存した。
これらの海洋細菌と放線菌を合わせて、3496株を登録し、本事業における「海洋生物資源ライブラリー」の構築とした。

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