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「動植物細胞におけるストレス応答機構」に関する共同研究
Vol. 1 (2000) 52
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ラット肝細胞の細胞凝集体形成による肝細胞機能発現の優位性のメカニズムの究明
横山 兼久1), 児玉 靖司2), 中山 由紀子1), 渡邉 正己2)
1) 科学技術振興事業団長崎研究室
2) 長崎大学薬学部放射線生命科学教室
Abstract:  ラット肝細胞は細胞凝集体を形成することによる高い肝細胞機能の発現メカニズムの解明を活性酸素に着目し検討を行った。その結果、コラーゲンゲル上では細胞が伸展しないことにより、細胞内の活性酸素レベルが高く保たれる、ミトコンドリアの活性が高い、細胞内のGSH(還元型グルタチオン)レベルが高い、細胞内のATPレベルが高い、ことが判った。GSHの阻害は細胞内のATP量の減少、アルブミン合成量およびp450活性の低下として認められた。また、低酸素培養では細胞内の活性酸素レベルの低下、アルブミン合成およびp450活性の低下が認められ、抗酸化剤の添加では、細胞内の活性酸素レベルの低下およびp450活性の低下が認められた。
以上から、ラット肝細胞は細胞凝集体を形成することによる高い肝細胞機能の発現は、ミトコンドリアの機能の活性化による、細胞内のATP のレベルの保持および細胞内の活性酸素レベルの保持にあることが示唆される。

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