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「動植物細胞におけるストレス応答機構」に関する共同研究
Vol. 1 (2000) 468
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アコヤ貝殻真珠層のタンパク質の解析
晦日 房和1)
1) 長崎県工業技術センター
Abstract:  真珠形成機構を解明するための一環として、真珠に含まれるタンパク質の性質を調べた。真珠とアコヤ貝殻真珠層中の有機基質成分は同じと言われているので、材料はその真珠層をパウダー状にして用いた。アミノ酸分析の結果、2.0%(w/w)のタンパク質が存在し、グリシン、アラニン、アスパラギン酸を多く含むことが明らかとなった。次に、0.05N HClで脱灰後、酸可溶性および酸不溶性画分を得た。両画分をSDS-PAGEで調べたところ、分子量15∼70kDaの範囲に合わせて10種類ほどのタンパク質が確認された。そこで、酸可溶性画分を直接2次元電気泳動に供しPVDF膜へBlottingした。アミノ酸配列を調べた結果、酸可溶性の分子量約60kDaタンパク質についてN末端から23残基までのアミノ酸配列がわかった。この配列は、真珠に含まれるタンパク質として、初めて報告されたNacreinのものと一致した。一方、酸不溶性画分について、8M尿素で抽出したところ分子量16kDaのタンパク質が多く存在していることがわかったので、陰イオン交換クロマトグラフィーで粗精製した。さらに、PVDF膜へBlottingした16kDaタンパク質のバンドを切り出しプロテインシーケンサーで調べたところ、N末端は単一アミノ酸として同定できた。しかしながら、2∼4残基では2種類以上の異なるアミノ酸が検出されたことから、16kDaタンパク質には分子量及び等電点が等しい複数のタンパク質の混在が示唆された。

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