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「動植物細胞におけるストレス応答機構」に関する共同研究
Vol. 1 (2000) 444
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変温動物細胞におけるストレス応答機構に関する研究
竹下 哲史1), 松田 尚樹2), 横山 兼久3), 森田 直子1), 柳瀬 浩4), 鈴木 啓司5), 児玉 靖司5), 渡邉 正己5)
1) 長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設
2) 長崎大学アイソトープ総合センター
3) 科学技術振興事業団長崎研究室
4) 倉敷紡績·技術研究所
5) 長崎大学薬学部放射線生命科学
Abstract:  タイマイ由来細胞は線維芽様であり、DMEM/10%FBSで活発に増殖した。25°C∼33°Cで増殖可能であり、培養至適温度は33°Cであった。37°Cでは可逆的に増殖が阻害された。ヒト胎児細胞のhsc73を認識する抗体で検出可能なhspをconstitutiveに発現し、その発現量は温度依存的に増大した。hsp90の誘導に関しては活性酸素分子種が重要である可能性が示唆された。通常の培養条件下で細胞外にスーパーオキシドを産生し、その産生量は37°Cで増大した。40°Cで細胞を処理すると、1時間処理直後の細胞内酸化状態は明らかに亢進しており、熱処理後33°Cで1時間放置すると、ほぼ定常状態を回復していた。これらのことから、細胞が熱の刺激を受容して、細胞内或いは細胞外に活性酸素を放出すると、細胞内が通常の還元状態から酸化状態へと変化し、その結果細胞内に一部或いは完全に変性した蛋白質が増加することに呼応して熱ショック蛋白質が動員される、即ち、熱に対する細胞のストレス応答のひとつには活性酸素が引き金となるものがあるのではないかと考えられた。

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