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「動植物細胞におけるストレス応答機構」に関する共同研究
Vol. 1 (2000) 27
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アルギン酸及びアルギン酸加水分解産物の生理活性の探索
森田 直子1), 児玉 靖司2), 鈴木 啓司2), 渡邉 正己2), 松田 尚樹3), 竹下 哲史4), 山下 晶子5), 横山 兼久5), 柳瀬 浩6)
1) 長崎大学医学部原研放射
2) 長崎大学薬学部放射線生命科学教室
3) 長崎大学アイソトープ総合センター
4) 長崎大学医学部原研放射
5) 科学技術振興事業団長崎研究室
6) 倉敷紡績·技術研究所
Abstract:  アルギン酸は数多くの海洋資源の中でも、主に褐藻類に多く含まれる酸性多糖である。ヒトはこのアルギン酸を食物として摂取するが消化することは出来ない。しかし、良質の食物繊維として体内のナトリウム排泄等の作用を有することが知られている。一方、哺乳類動物細胞に対する生理活性作用については未だ不明であるため、本研究では癌細胞の転移·浸潤において必須の原動力となる細胞の運動性に対して、アルギン酸とその分解物がどのような作用を有するか各種癌細胞に対する影響を調べた。また、癌細胞のコロニー形成率に及ぼすアルギン酸分解物の影響を調べた。その結果、マンヌロン酸はSaos-2(ヒト骨肉腫)の運動性を抑制することが分かった。また、Saos-2細胞のコロニー形成率はマンヌロン酸を加えた場合約20%程度抑えられていた。以上のことより、アルギン酸が癌細胞の運動性を抑制し、またその他に癌細胞の増殖性にも影響を及ぼす可能性が示唆された。

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