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「動植物細胞におけるストレス応答機構」に関する共同研究
Vol. 1 (2000) 18
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アルギン酸ゲルビーズ内における細胞培養法
森田 直子1), 松田 尚樹2), 児玉 靖司3), 鈴木 啓司3), 渡邉 正己3), 竹下 哲史4), 横山 兼久5), 柳瀬 浩6)
1) 長崎大学医学部原研放射
2) 長崎大学アイソトープ総合センター
3) 長崎大学薬学部放射線生命科学教室
4) 長崎大学医学部原研放射
5) 科学技術振興事業団長崎研究室
6) 倉敷紡績·技術研究所
Abstract:  哺乳類細胞を3次元的な状態で培養することは、生体内の生理的環境を再現する方法として有効であるが、これまで正常細胞の増殖活性を維持したまま3次元的に培養することは難しかった。そこで本研究ではヒト胎児由来正常細胞(HE49)をアルギン酸ゲルビーズ内に包埋し細胞の挙動を観察した。アルギン酸ゲルビーズをEDTA処理後、回収した細胞は60%以上の生存率を示し、またコロニー形成率は10∼15%であった。包埋した時点では細胞は個々にビーズ内に分散していたが、培養を続けるとビーズ内全体にスフェロイド様構造を形成し、そのサイズ、数とも増加した。また、細胞倍化時間は約108時間と推測された。さらに、ビーズ内でのHE49細胞の増殖能は、ミトコンドリア脱水素酵素活性が高く維持されたことからも確認された。以上の結果から、ヒト正常細胞がアルギン酸ゲルビーズ内において3次元的なスフェロイド様構造を形成し、且つ増殖できることが示唆された。

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