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「動植物細胞におけるストレス応答機構」に関する共同研究
Vol. 1 (2000) 150
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植物のアルミニウムストレス耐性機構
II. 超微量アルミニウム測定法による好アルミニウム植物、ルジグラス培養細胞内のアルミニウム/蛋白質複合体の検出

斎藤 彰1), 宮崎 力2), 正岡 淑邦3), 小林 紘一4)
1) 農林水産省九州農業試験場育種工学研究室
2) 科学技術振興事業団
3) 農林水産省九州農業試験場生産環境部
4) 東京大学原子力総合研究センター
Abstract:  土壌の酸性度がpH5.5以下では、アルミニウム(Al)は大部分の植物の生育を阻害する。一方亜熱帯地域の酸性土壌に栽培される牧草ルジグラス、Brachiaria ruziziensisは中性土壌にくらべ生育が良い。本研究では、Alがルジグラスの生育を促進する機構解明するために、その細胞培養系を確立した。種々のpH条件下における培養により、その細胞増殖は酸性条件(pH3.5∼4.5)で一般的な植物細胞培養で適切な条件であるpH5.8と比べ促進された。pH4.0の培養条件で26Alを添加し、細胞内に取り込まれた26Alを加速器質量(AMS)分析すると、26Alは添加後24時間直線的に取り込まれていた。さらに、26Alが取り込まれた細胞の水溶性分画を未変性PAGE電気泳動分析し、またそのゲル切断片中の26AlをAMS分析した。その結果いくつかの蛋白質が超微量の26Al(10-15g/gel slice)と相互作用していることが示された。このようにAMSによりルジグラス細胞内の超微量26Alを検出したことは、今後さらに植物内のAlの生物学的機能研究を可能にする。

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