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「動植物細胞におけるストレス応答機構」に関する共同研究
Vol. 1 (2000) 109
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正常ヒト細胞を用いた組織モデルの作製と評価
山本 良平1), 元野 満1), Mitch Klausner2), Gary D. Shipley3), Ann K. Shipley3), 妹尾 久雄4)
1) 倉敷紡績株式会社·技術研究所
2) MatTek Co.
3) Cascade Biologics, Inc.
4) 名古屋大学·環境医学研究所
Abstract:  我々は正常ヒト細胞の分離および培養法を検討してきた(1、2、3)。その結果、表1に示す細胞の培地および培養法を開発することができた。これら正常細胞は、基礎研究および薬理·毒性試験において使われるが、通常の単層培養ではモデルとしての限界があると言わざるをえない。そこで、より生体に近似したモデルとして、表皮モデルおよび血管モデルについて検討を行った。
表皮モデルは、表皮角化細胞の重層モデルを用いた。このモデルは、in vivoの表皮構造が再現されており、表皮特異的な分化マーカーの存在も確認されている。このモデルが、化学的な刺激に対してin vivoと同じ反応を示すかどうかを調べた。皮膚刺激試験におけるスコアーが分かっている化粧品について、本モデルを用いて試験した。その結果、化粧品による本モデルの細胞生存率低下はin vivoの結果とよく一致した。しかし、本モデルでは高濃度のエタノールを含む試料て過剰に反応する傾向が見られ、溶媒に対するバリアー機能が実際の表皮より低いことが示唆された。
血管モデルは、フィルター上に血管内皮細胞を単層に培養したものを用いた。このモデルでは、物質および細胞の透過性について評価した。その結果、本モデルはFITCデキストランおよび血球細胞の透過を阻止し、IL-8によって血球細胞が血管内皮細胞層を遊走することが確認できた。

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