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「動植物細胞におけるストレス応答機構」に関する共同研究
Vol. 1 (2000) 103
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培養系における正常ヒト細胞の遺伝子および蛋白質の発現
血管平滑筋細胞の増殖·分化にともなう蛋白質発現の変化

山本 良平1), 庭田 悟1), 柳瀬 浩1), 元野 満1), 北廣 恒司1), Gary D. Shipley2), Ann K. Shipley2), 妹尾 久雄3), 村田 善晴3), 加藤 兼房4)
1) 倉敷紡績株式会社 技術研究所
2) Cascade Biologics, Inc.
3) 名古屋大学·環境医学研究所
4) 愛知県心身障害者コロニー·発達障害研究所
Abstract:  正常ヒト血管平滑筋細胞におけるα-アクチンおよびストレス関連タンパクp20の発現を調べた。
血管平滑筋細胞を我々の開発した増殖用培地および分化用培地で培養し、それぞれについてα-アクチンの抗体染色を行った。その結果、増殖用培地で増殖中の細胞ではα-アクチンの染色は認められなかったが、分化用培地で培養した細胞は生体内におけるのと同様にα-アクチンを発現していることが確認できた。
次いで、培養細胞では発現しないか、もしくは極めて低レベルの発現しか見られないストレス関連タンパクp20の発現を調べた。上記と同じ条件で培養し、細胞抽出液について酵素免疫測定法によりp20を定量した。大動脈および肺動脈の血管平滑筋細胞について調べたところ、p20は増殖用培地で増殖中の細胞ではほとんど検出されなかった。しかし、増殖用培地でほぼ100%コンフレントの状態になると低レベルながらp20の発現が認められた。更に、分化用培地では生体組織と同レベルのp20が検出された。
以上の結果より、分化用培地で培養した正常ヒト血管平滑筋細胞はインビボのモデル系として使用できることが示唆された。

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