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共同研究終了報告書「脳活動に伴う二次信号の計測とその発生機序に関する研究」
Vol. 1 (2000) p.458
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ベータカメラによる脳酸素クリアランスの測定
関 千江1), 松浦 哲也1), 柏倉 健一1), 藤田 英明1), 山本 誠一2), 菅野 巌3)
1) 科学技術振興事業団秋田研究室
2) 神戸市立工業高等専門学校
3) 秋田県立脳血管研究センター
  脳賦括に伴う二次信号(脳血流量や酸素消費量)の解明が行われている。今までは脳における血管外脳組織での酸素は非常に低く、脳細胞に供給される酸素はすべて血管内から賄われると考えられてきた。このことは陽電子断層撮影法(positron emission tomography ;PET)による、局所脳酸素代謝率(rCMRO2)の定量でも前提とされてきた。ところが近年血管外の酸素の存在が無視できないという報告もされている。この研究では、ポジトロントレーサーであるO-15で標識された赤血球をラットの頚動脈に瞬時注入し、脳表をベータカメラで測定することによって、標識されたO-15放射能濃度の動態を調べた。脳血管外の酸素分圧が非常に低く血管内から脳組織に取りこまれた標識酸素が瞬時に代謝され、標識された代謝水となって、脳組織から血管へ移行すると考えられているため、O-15で標識された水でも同様の計測を行い両者のクリアランスを比較した。その結果、O-15標識血液注入時のクリアランスの方がO-15標識水よりも有意に速かった。このことは、血管外脳組織内の溶存酸素がある程度存在している可能性を示唆している。

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