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共同研究終了報告書「脳活動に伴う二次信号の計測とその発生機序に関する研究」
Vol. 1 (2000) p.123
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サブミリの空間分解能での機能的磁気共鳴脳活動イメージング
程 康1), Waggoner R. Allen1), 田中 啓治2)
1) 科学技術振興事業団/理化学研究所脳科学総合研究センター
2) 理化学研究所脳科学総合研究センター
  第一次視覚野では、左目あるいは右目から強い入力を受ける神経細胞がそれぞれ固まって存在し、周期的に交互に並んだ帯状の領域(眼優位性コラムと呼ばれる)を構成することが知られている。眼優位性コラムは機能的磁気共鳴画像(fMRI)の空間分解能の限界を調べるために理想的なモデル系である。私たちは4 テスラの静磁場のMR 装置を用いて、分割EPI法(画像構成法の一種)により健常な被験者の第一次視覚野の眼優位性コラムを画像化(イメージング)することを試みた。第一次視覚野が比較的平らに広がった鳥矩溝の上壁に平行になるようにスライスを設定し、使用する視覚刺激で刺激される第一次視覚野の範囲を予め別の実験により定め、この範囲で左目刺激と右目刺激で信号の大きさが一貫して変化する画素の分布を調べた。左目優位の画素と右目優位の画素は約1ミリの間隔で交互に並んだ帯状の領域に固まって存在した。帯の方向と間隔は、片目を治療目的で摘出した患者の死後脳をチトクローム酸化酵素に対する組織化学的方法で染色することによって調べられた眼優位性コラムのデータ(Horton et al.,1990)とよく一致した。また、同じ被験者のほぼ同じスライス部位について別の日に行ったfMRI実験において、よく重複する眼優位性コラムのパターンが再現された。これらの私たちの結果は、高静磁場fMRIを使って人間の脳機能を1ミリ以下の高空間分解能で研究できることを示した。

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