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「さきがけ研究21」研究報告会「形とはたらき」
Vol. 1 (2000) p.97
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ランダム配列からの機能性蛋白質の創出
四方 哲也1)
1) 「形とはたらき」領域
  数百アミノ酸の鎖であるタンパク質が高機能を発揮できるのは、通常の高分子に比べて比較的一定の3次構造に巻くためである。ひとつの遺伝子から出来てきポリペプチドはほぼ同じ形に折りたたまれるので、特定の化合物などが識別できて触媒機能などを発揮するのである。一方、ランダムなアミノ酸配列を持ったポリペプチドなら特定の構造に留まっている確率が非常に小さいので、1ポリペプチド分子あたりの機能は非常に小さくなってしまう。すると、質問は以下のようになる。「一定の構造と高い機能を示す特別なアミノ酸配列はどのように進化してきたのだろうか。」この問題にアプローチするためには、2つの方法が考えられる。1つは、現存のタンパク質を比較し分子系統樹を描き、進化時間を逆に遡って進化過程でどのような変化が起こったかを推定する方法である。もうひとつは、実験室でタンパク質を進化させて、その形や働きの創出の原理を求める方法である。この研究では、後者の方法論に基づき、試験管の中やコンピュータの中でいくつかの進化実験を行い、タンパク質進化のルールを発見することを目的とした。

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