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「さきがけ研究21」研究報告会「形とはたらき」
Vol. 1 (2000) p.3
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色受容ユニットの配列パターンと視覚機能
蟻川 謙太郎1)
1) 「形とはたらき」領域
  昆虫は世界をどのように見ているか?この質問にさまざまな角度から取組みながら、視覚メカニズムに関する理解を深めることを目指しました。とくに複眼の構造と視覚機能の関連を考えながら研究を進めました。研究のポイントは色覚におき、研究対象にはチョウ類を選びました。チョウ類はさまざまな花を訪れて蜜を吸います。チョウの求蜜行動を観察していると、チョウは花の色をあきらかに識別しているように見えますが、これを証明した研究はありませんでした。そこで私はチョウは本当に色を見ているのかどうかをまず調べ、そこから複眼の構造·機能の解明へと研究を発展させました。一連の研究の過程で、たとえばひとつの視細胞に2つ以上の視物質が発現していること、個眼は内部に含まれる色受容細胞の組合わせに多様性があることなど、これまで視覚生理学の分野で定説とされていたことが覆るような結果も得られました。

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