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舛本単一量子点プロジェクト講演要旨集
Vol. 1 (2000) p.19
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ナノ結晶シリコンの電気的·光学的性質
松本 貴裕1)
1) 分光解析グループ
  電気化学的にシリコン基板をエッチングする方法で作製したナノ結晶シリコンのサイズ分布を、X線小角散乱法によって求めた。これらのナノ結晶サイズ分布は、従来行われていた透過電子顕微鏡観察ならびに光学的Raman評価によって求められていたサイズ(3nm)よりも非常に小さく、1.5から2nmのナノ結晶集合体であることが示された。また、吸収スペクトルの測定において、透過光および反射光を正確に評価することによって、吸収端近傍に光学的フォノンの吸収·放出過程が関与したスペクトルピークが出現することを見いだした。このスペクトルピークは、シリコンナノ結晶が量子サイズ効果を有した間接遷移型半導体である直接的証拠を与えるものであると同時に、今まで曖昧に決定されていたシリコンナノ結晶のバンドギャップエネルギーを正確に決定する手法を与える。粒径ならびにバンドギャップエネルギーが定められたナノ結晶シリコンに対して発光スペクトルを測定すると、1.6nmの粒径で発光の緩和過程が急激に変化することを示すことが出来る。これは、発光過程が、量子サイズ効果を帰因としたものから表面励起緩和状態を起源としたものに転移することで説明することが出来る。

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