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御子柴細胞制御プロジェクトシンポジウム講演要旨集
Vol. 1 (2000) p.53
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内膜小胞体より放出されるカルシウムの生理機能の検討
加藤 邦夫1)
1) 生理機能グループ
  細胞内のカルシウム貯蔵庫から放出されるカルシウムが神経組織において果たす生理学的役割を調べるために、IP3受容体の遺伝子を欠損させたマウスを用いて解析を行った。その結果、これらのカルシウムは神経シナプスの可塑性の誘導に重要な働きをしていることがわかった。小脳Purkinje細胞での代表的なシナプス可塑性であるLTDがIP3受容体欠損マウスにおいて欠如していることから、IP3受容体の活性がLTDの誘導に必須であることがわかった。また欠損マウスでは海馬CA1錐体細胞においてLTPが増強していることがわかった。このことから海馬では小脳と異なり、内膜小胞体より放出されたカルシウムが可塑性を抑制していることが判明した。また海馬錐体細胞においてIP3受容体の活性を抑制するとシナプスにおける入力特異性が失われることから、IP3受容体の活性はシナプス間の可塑性の伝播を抑制していることがわかった。またリアノジン受容体の海馬における生理学的役割をリアノジン3型受容体遺伝子欠損マウスを用いて調べた。

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