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御子柴細胞制御プロジェクトシンポジウム講演要旨集
Vol. 1 (2000) p.41
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リアノジン受容体欠損マウスにおけるシナプス可塑性、及び行動·学習
二木 啓
  カルシウムは細胞内二次情報伝達分子として、多様な生理反応を惹起するが、その機能の多様性は、細胞の種類や発生におけるステージはもとより、カルシウムの細胞質への流入経路や、濃度変化の時間空間的ダイナミクスにも起因すると考えられる。当プロジェクトC(細胞機能分子制御)グループでは、このカルシウムの機能的多様性に着目し、その個体レベルでの高次機能や、それを生み出すカルシウムシグナルネットワークの分子機構·論理を追求するため、マウスをモデル動物に、主に発生工学的手法を用いてこれにアプローチした。具体的には、カルシウム流入を担う分子的実体である種々のチャネル分子の構造や多様性、発現様式を調べるとともに、それらの遺伝子の欠損動物の作製·解析を行い、各々のチャネルを介するカルシウムの役割や、チャネル間の機能的関係性について調べた。さらに、組織特異的に遺伝子欠損を行う為のマウスの開発(鈴木らによる項を参照)や、カルシウム動態を生体中でより長時間、広範囲に可視化できる遺伝子導入マウスの開発など、カルシウムシグナル系をより部位特異的に、あるいは組織システムのレベルで総合的に捉えるのに必要な系の開発も併せて行った。本稿ではこのうち、遺伝子欠損マウスについてとりあげる。作製したマウスは何れも各々の遺伝子欠損に特徴的な性質を示しているが、ここでは特に3型リアノジン受容体(RyR 3)欠損マウスについて、そのユニークな性質を報告する

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