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土居バイオアシンメトリプロジェクトシンポジウム要旨集
Vol. 1 (2000) p.23
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エイズウイルス逆転写酵素の鎖特異的なDNA認識
岩城 俊雄1)
1) 非対称変異体グループ研究員
  エイズウイルスの逆転写酵素はウイルスゲノム一本鎖RNAから二本鎖のDNAを生成する.このウイルスのゲノム複製におけるDNAプラス鎖合成のプライマーとなるポリプリントラクト(PPT)はゲノム上の2カ所に存在し,その配列はレトロウイルス間でよく保存されている.PPT配列を含むオリゴDNAと逆転写酵素との結合親和性をバインディングアッセイで測定したところ,この親和性は結合の方向において非対称性を示すことが分かった.その他,種々のオリゴDNAとの親和性の検討より,結合にはPPT中のGトラクトが重要であること,逆転写酵素上のRNaseHドメインも結合の非対称性に寄与することが明らかになった.さらにPPT配列とHIV-1RTの結合における非対称性は、PPT配列からのDNA伸長反応においても観察された.これらのことからエイズウイルス逆転写酵素は結合親和性によりdsDNA認識に方向性があって,PPT周辺では正確に鎖特異的にDNAを認識することがわかった.

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