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土居バイオアシンメトリプロジェクトシンポジウム要旨集
Vol. 1 (2000) p.13
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出芽酵母の老化に伴う遺伝子発現の非対称な分配—DNA Microarrayを用いた発現プロファイリングからの解析
桧原 理史1)
1) 非対象変異体グループ研究員
  出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)は細胞分裂の際、出芽という非対称分裂を行い母細胞から形態的に小さな娘細胞を生じる。個々の母細胞を観察していくと何回かの分裂のあと、分裂限界に達し細胞死が起こる。すなわち個々の母細胞の分裂回数は有限であり、出芽酵母には寿命が存在する。さらに出芽酵母の平均分裂回数は、各々の細胞株に特有の値を示す。これは出芽酵母の老化現象が、遺伝的因子により支配されている可能性を示唆している。このような特徴から、出芽酵母は単細胞生物とはいえ、1950年代より細胞老化の研究対象として着目されてきた。我々は、出芽酵母の細胞老化に伴う現象を「分裂に伴う母細胞内に起こる遺伝子発現量の非対称な分配による複合的な連鎖の結果」であると考え、数回しか分裂をしていない「若い」細胞集団と、分裂限界に近づいている「老化」した細胞集団との間で遺伝子の発現プロファイリングを全ゲノムレベルで行った。その結果、分裂限界に近づくに従い引き起こされる生体内の現象が、様々な遺伝子の発現レベルの変化より推察された。

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