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土居バイオアシンメトリプロジェクトシンポジウム要旨集
Vol. 1 (2000) p.11
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分裂酵母の挿入突然変異体の確立と有性生殖に関与する新規遺伝子の解析—非対称現象に関与する分子の探索
饗庭 一博1)
1) 非対称変異体グループ
  分裂酵母Schizosaccharomyces pombeはロッド状の単細胞生物であり、分裂によって増殖するが、分裂直後の細胞伸長は、非対称的に起こる。それはNETO(new end take off)と呼ばれ、分裂によって新しく生じた細胞端の伸長が遅れる現象である。また、分裂酵母は窒素源飢餓により有性生殖を開始する。この過程にも非対称な現象が見られる。接合型特異的な遺伝子発現や有性生殖特異的な遺伝子発現(非対称な遺伝子発現)、細胞端に局在する接合関与分子や減数分裂中に局在を変化させる分子(非対称な分子の局在)などである。しかし、有性生殖過程に関与する遺伝子の非対称な発現や分子の非対称な局在の分子機構などは、未だ充分には明らかにされていない。分裂酵母は通常半数体生物であるため、突然変異体を得ることが容易である。これまでに突然変異誘発剤などによって非常に多くの突然変異体が得られているが、原因遺伝子の同定までには多大な時間を要する。一方、外来DNAの挿入によって遺伝子を破壊する挿入突然変異法では挿入位置の塩基配列を容易に決定できる。このことは、分裂酵母ゲノムの全塩基配列データから迅速な遺伝子同定が可能になることを示している。ところがS.pombeでは挿入突然変異法がいまだ確立されていない。そこで、今研究において分裂酵母の挿入突然変異法の確立を行い、有性生殖に変異のある挿入突然変異体の単離、及び同定遺伝子の解析を行った。

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